Day,25 有給休暇。

  • 2018.07.31 Tuesday
  • 01:48


7/17 晴れ 21km
ハリウッド周辺







ホーリーとルーシーが美味しい朝食を作ってくれた。
相変わらず僕はセムドッグに監視されている。





帰りの飛行機のチケットは、7/22サンディエゴ発。動けるのは実質的にあと5日。
LAからサンディエゴまで自転車で走って丸2日。サンディエゴからメキシコに突入するためにもう1日。自転車を梱包して帰りの荷物をまとめるのにもう1日。と、計算すると、嬉しいことに、どこかで1日だけ休める日が作れそうだ。
毎日必死に走り続けたおかげで生まれた貴重な1日。その1日をいつ使うのか?どーやって過ごしたいか?と考えた時に、やっぱり僕はもう少しここに残りたくなった。サンディエゴ辺りまで先に進んでからゆっくりするプランも捨て難かったけど、LAでアヴィン達と一緒に過ごせることの方が僕にとって大切で、最後の休日をここで使うことに決めた。
誰かと仲良くなると僕はいつも”離れたくない病”にかかってしまう。悪い癖なのは分かっているけれど、もうゴールまでは計算できる距離。ここまで来ればカメだってサボるだろう。
ホーリーとルーシーは帰りの飛行機まで余裕があって、もう2,3日アヴィン邸に滞在するらしく、僕も便乗してもう1泊させてもらうことにした。





アヴィンは朝早くから仕事に行ってしまい、女子2人はハリウッドの有名なネイルサロンを予約したとかなんとかでキャッキャしながら出掛けていった。まさか僕も一緒に付いていくわけにもいかず(本当は行きたかったけど)アテもないまま、ぷらーっと自転車で街に繰り出した。
これといってやりたいことも見つからず、とりあえずハリウッド、ビバリーヒルズ、ロデオドライブ辺りのいかにもロサンゼルスな場所を周ってみたけど、特に面白いとは思えなかった。





実は4年前にも僕はLAに来たことがある。
その時はたしか冬の時期で大道芸の仕事が全然なくて、日本にいてもヒマだし何処でもいいから海外でパフォーマンスしたいなぁと芸道具を持って渡米したものの、LAといえど冬は普通に寒くて全然大道芸ができず、結局ヒマを持て余した僕は1人ディズニーランドを満喫して帰ってくるという。そんなホロ苦い思い出の場所である。


ただそれでも、当時の僕にとって初めてのLAは刺激的で、寒さを口実に仕事を放り投げ(その時はだいぶ後ろめたさがあったけど)ひたすら自由な時間を楽しんだ。
ペラペラの工作用紙みたいな国際免許でレンタカーを借りて、たいして交通ルールも知らないまま夢中になって街中を走り回る。観光名所に行かなくたって、走ってるクルマがカッコイイとか、街の景色が映画みたいだとか、それだけで十分楽しく、僕にとっては街全体がディズニーランドみたいなものだった。
それなりに外国を周ったつもりだったけど、他のどの街よりもこのLAが一番面白くて魅力的だと思った。初めての海外自転車旅をアメリカ縦断コース(西側)に決めたのも、この時のLAの思い出に誘われたというのが理由のひとつ。すごく気に入った場所だったし、今回またLAに来られることを実はとても楽しみにしていた。






4年前。




しかし、4年前あんなにキラキラして見えたLAは、自転車で来てみると意外と退屈な街だった。
相変わらずめちゃくちゃ賑やかで魅力的なのだけど、当時感じたような興奮は今の僕にはなくて、少し街を散策しただけですぐに飽きてしまった。名所を見て感動するなんてことも今更ないし、観光地を周る分には面白い人との出会いも見当たらない。人と人との関わりがお金でしかつながっていなくて妙に寂しく感じた。
コンビニでは値段をふっかけられ、通りでもコスチュームを着た大道芸人に金をセビられ、ここなら大丈夫だろうと逃げ込んだカフェでも何故かヤンキーにからまれてしまい、居場所がなくなってしまった。
大都市の観光地でありがちな、分かりやすくカモにされているような感覚。今までずっと親切な人ばかりに出会ってきた旅だったので、ギャップにうんざりした。


自転車一台に全ての荷物を積んで、水と食料があれば生きていけるという旅を続けてきたからなのか、LAの街は騒々しくて、人もモノも多過ぎるように感じた。もう十分に豊かで満たされているはずなのに、それでももっと豊かになるために競い合っているような、街全体がそんな雰囲気だった。





ちょうど居場所を失ってたところに、仕事が終わったアヴィンから連絡がきて、家に帰ることにした。
女の子たちと合流してドライブにでも行こうぜ、と。たぶん僕たちのことを気にかけて仕事を早めに切り上げてくれたっぽい。一旦家に戻り、自転車を乗り捨て、みんなでドライブに出かける。
女の子たちは指先がキラキラになってて、こんなんだったら僕もネイルサロンに連れていってもらえばよかったなぁと少し後悔した。そっちの方が断然楽しいだろうし、たかられることもなかっただろう。それにしても、自転車でアメリカを縦断している最中だというのに、指先のお手入れまで欠かさないあたり、やっぱり女の人の感覚は不思議だ。








LAを一望できる丘の上までみんなで歩いた。
やや曇り気味でそんなにキレイな景色でもなかったのだけど、それをネタにして楽しんだ。
英語の会話についていけないこともあるけど、僕に話すときはみんな丁寧に伝えてくれる。今日のディナーは何にしようとか、日本のラーメンのこととか、雑談しながらぼーっと景色を眺める。
そんな時間がとても楽しい。





たくさんの人たちに出会った中で、アヴィンに会えたことは僕にとってすごく大きかった。
年が近いこともあって話が合うし、自転車に乗らなくてもアヴィンはけっこうな冒険家で、今までたくさんの旅をしてきたという。だからこそ僕やホーリーやルーシーのことを手助けしてくれるのだと思うし、僕らの旅にすごく興味を持ってくれて、いつも話が尽きない。裏がなく、サラッと善意で動けるアヴィンのことを本当に尊敬してるし、自分もこんな人間になりたいと思った。
本当はもっと長く一緒に居たいと思うのだけど、残念ながら僕の旅はいつも時間が足りない。


ここにも残りたいが、もうメキシコは目の前で飛行機の期限も迫ってる。色んな事情を天秤にかけて、やっぱり僕は南に進む。
明日こそ出発しなきゃいけない。
朝になって気持ちが流されないように、強く決心する。






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